クラウドコンピューティング関連セミナーの講演資料作成。どちらかというと企業向けのセミナーなので、今回は技術的な話はなし。さてプログラムを拝見すると、当方が、PaaSの問題点とか、プライベートクラウドって意味があるの?とか話すと怒られそうですが、でもきっと言ってしまうのでしょう。

さてそのプライベートクラウドですが、困るのはベンダーによって定義がバラバラなこと。大きく分けて、(パブリック)クラウドコンピューティングの技術を使った自社情報システムと、処理の一部を外部クラウドに任せられる自社情報システムに大別できるようです。前者はサーバ仮想化との違いを聞きたくなるし、後者はホスティングサービスやVPNとの違いを聞きたくなります。過度期としてプライベートクラウドの存在意義もわかるし、事業部や部署単位に自前情報システムを保持・運用しているような企業であれば購入・運用費用の削減になるのはわかります。ただ、規模の経済を大原則して、スケールアウトを狙った(パブリック)クラウドコンピューティングの技術は、規模がそれほど大きくない自前情報システムには向いているとは限らないし、無理して導入してもシステムが複雑になるだけ。例えばサーバを仮想化すればハードウェアは減らせるかもしれませんが、その分、仮想マシンを含むソフトウェアが複雑化していきます。また当たり前だけどシステムは複雑になればなるほど信頼性が落ちていきます。特にシステムが複雑になるとトラブルが起きたときに、トラブル原因を特定するだけでも手間がかかります。

クラウドコンピューティングではAmazonやGoogle、Microsoftなどのインフラ提供事業者が運用の面倒を見ていくれることになっています。だからクラウドインフラを使う側は運用コストを減らせます。クラウドインフラそのもは従来システムと比べて複雑ですから、インフラ提供者側の手間は従来システムよりも大きい。ただ、インフラ提供者側がそれを乗り越えられるのは、それは運用コストを極限まで減らしているから。例えばMicrosoftは管理者一人が面倒を見るサーバは5000台だそうです。しかし、運用・管理コストが下げられるのは規模の経済があってこそです。

一方、プライベートクラウドの場合は、サーバ数も少ないのに、システムが複雑になるわけですから、導入コストは減らせても、運用管理コストは増えてしまうかもしれません。一部のハードウェアベンダーでは社内事例として、プライベートクラウドにより約8割のコストが削減したそうです。しかし、これは代表的なコンピュータ会社だけあってサーバ数は膨大だったでしょうし、サーバそのものを仮想化することで複数のサーバを一つのコンピュータで動かしているから、サーバあたりで見れば運用管理コストは減らせて当然。ただ、コンピュータあたりでは運用管理コストは増えるわけで、結局、バランスの問題になりますが、現状はプライベートクラウドのコストモデルが見えていない。

佐藤一郎: Web日記 (2009年) (via reservoir)

プライベートとクラウドって相反する概念だと思っていた,というか思ってる.バズワードの一人歩きを追わないといけない人は大変だな...

(Reblogged from reservoir)

Notes